大森町水族館

小さな観賞魚店の入荷情報発信と生体管理記録
金魚ヘルペスの特効薬発見か!?
この半年、うちの店では相当数のランチュウを扱ってきた。
問屋で自分が選別し「これはイイ」と仕入れて、それがお客さんの目に留まり喜んで買って行かれた時は、この商売をやってホントに良かったと思える瞬間だ。でも仕入れたランチュウ全てがそんな良い形で旅立っていくわけではない。ロスも多いのである。今回はそのロスに端を発する日記。

うちで扱う熱帯魚は古代魚・大型魚という強健種が中心なので幸いロスはほとんど出ない。それが金魚となるとロスは日常茶飯事、夏くらいまでは毎日何かしらの金魚が昇天していた。その中でもダントツの数を落としたのがランチュウ。自分で管理し始めて理解したが、このランチュウという金魚、イヤになるくらいデリケートである。輸入される外産のものは流通経路の多さと雑に扱われる分、魚に耐性が付くとみえて比較的丈夫なのだが、国産のしかも生産者の名前付きで出るような金魚は生産過程においても大事にされ、温室育ちであることから環境変化に対し非常に脆い面がある。そのため環境変化を強いる入荷直後の数日間は全く気が抜けず、状態の観察に手を抜けない。そんな繊細なランチュウだが、発症する病気で圧倒的なのが金魚ヘルペスである。数年前、コイで散々騒がれ有名になったウィルス性の魚病だ。金魚ヘルペスは、コイヘルペスとはウィルスの型が違うことが分かっているらしい。
この金魚ヘルペス、その症状はというと・・魚体表面には何の症状も出ない。ただ魚の動きが止まり、水面もしくは水底でボーっとしだす。口もエラもほとんど動きがなくなる。面白(めんじろ)のランチュウなどはカシラの白さが失われ紫色を呈してくる。その後病気の進行と共に魚体の色が褪せ、目は完全に生気を失う。末期になるともう手の施しようがなく死するのみだ。金魚を見慣れている人であれば発症魚の様子がおかしいのは初期において簡単に見つけられるはずなので、早期発見・早期治療で対処することが何よりも肝となる。しかし厄介なことに金魚ヘルペスは有効な薬がない病気で、唯一の治療法は高温療法。病魚を32度以上の高水温に症状が改善するまで泳がせるというもの。うちでは33~34度の高温にしている。これでダメな魚はダメ。元気になるのはその後はビンビンに元気になる。この治療についても、最初に当てる水の温度を何度にするか、その後33度まで短時間で上げる按配、併用する塩分濃度等、その時の魚のサイズや状態を見てこれまで試行錯誤してきた。それで掴んだ自分の単なる勘を頼りに治療にあたっているが、今では何とか高確率で病魚を助けられるようになった。夏以降は金魚ヘルペスそのものが沈静化してきているが、未だに出ることは出る。
というわけで何とも忌まわしい金魚の病気で高温療法しかないと思っていた矢先、ある金魚関連の本に高温療法以外の興味深い治療が紹介されていた。金魚愛好家はすでにご存知だと思う。あくまで参考程度での紹介だったが、医療器具などの消毒に用いる強酸性水を使う療法である。PH2.7の強酸性水を水で希釈し、そこに病魚を漬け、苦しがったらすぐ取り出し水槽に戻すというものであった。これで良好な結果が出ているという内容だった。これは是非試してみたいと思い、ここにも書き込んでくれる友人のばちゅん氏に連絡を取った。彼は医療従事者なのだ。程なくして彼から返答が来たのだが、現在は強酸性水よりも「中性水」というものが主流になっているとのことであった。中性水・・???強酸性が殺菌・消毒効果があるというのはイメージで分かるが、中性の水で殺菌・消毒?どんな水なんだろうと思った。そしてばちゅん氏は近いうちにその中性水を持ってきてくれることになり、先日届けてくれたのであった。
それがコレ↓
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お試しにとわざわざ関係者が1㍑持参してくれたらしい。感謝^^
で、この中性水とはどういうものなのか・・。
聞くと、専用の機械により食塩水をベースに独自の電気分解で「次亜塩素酸」という成分を生成し、それを主成分とした水溶液で、除菌用の電解水の優れた部分を徹底的に研究して作られた新しいタイプの中性電解水という。
これをばちゅん氏にいただいた数日後、タイミング良く^^;新たに仕入れたランチュウに1匹ヘルペスの症状が出た。入荷から二日目、その1匹だけ泳ぎが止まり口とエラも使っていない。もちろん期待感満々で早速中性水を使ってみた。なにしろ1㍑しかないので無駄な使い方は出来ない。プラケの小でもランチュウが浸る深さにすると1㍑近くは必要だ。そこで2㍑のペットボトルの底部分を10㌢くらいに切って使うことにした。これならランチュウのサイズにピッタリだし、水もそれほど使わなくてもある程度の深さになる。4、5㌢水を入れ、そこに病魚を漬けてみた。とりあえず15秒間。バタバタと暴れたけど水槽に戻した魚は中性水によるダメージを受けた様子は特に見られない。水面付近をチョコチョコと泳ぐ。おそらく中性の水だから刺激もほとんどないのだと思う。しかしヘルペスを患っているので動きは止まり気味で泳ぎも弱い。このまま様子を見ることにした。
あくる日、治療を施した金魚を真っ先に見ると・・果たして生気がみなぎって元気に泳いでいる!この日のエサやりでもしっかりエサを追い食べる!完治といってよい状態だ。
そしてさらに数日後、一匹の三歳魚を新たに仕入れた。この個体がまた最初からピリッとせず、袋の開封前から鼻上げ気味にボーっとしていた。水槽に単独で放したが、やはりヘルペスの症状が出ている。中性水二度目の出番。この三歳魚はサイズが17cmほどあり、前回のペットボトル皿では魚が入らないのでプラケを使った。残っていた中性水は全て使った。魚体を浸し、今回は30秒漬けてみた。水槽に戻し様子を見る。
結果・・3時間後には常時健常に泳ぎ、健康な魚と変わらない反応を示すようになった。
以上モデルとなった2個体はこれまで販売せず、約一週間状態を見守ってきた。結果、いずれも健康な状態で元気に泳いでいる。
たった2回の試行だが、中性水の金魚ヘルペスに対する効果は間違いなくあると感じた。そこでこの中性水、店で常備したいと思い、ばちゅん氏が水と一緒に持ってきてくれた生成機のカタログを見て製造メーカーに販売店を問い合わせてみた。すると医療器具なので当然だが「出入りの業者さんはどちらですか?」と逆に尋ねられてしまった^^;そこで、うちは観賞魚店で、魚の病気の治療に使ったら好結果が出た、生成機の購入を検討したい、など詳しく説明した。すると電話の向こうの男性、その用途と結果に関心を示し、こちらの話しをさらに聞き出した上で中性水について専門的なことをわかりやすく教えてくれた。さらに、生成機導入の検討はありがたいですが・・と前置きがあり、安くはない物なのでもっと検証を重ねたらいかがでしょう?ということとなり、生成したての中性水を18リットルバッグで送ってくれることになった。その電話のやりとりは先週の金曜日。そんな中、12日の祭日に仕入れたランチュウが一匹昨日から具合が悪い。白勝ち更紗の当歳魚で、綺麗な黄頭が色褪せ、赤みがかってきている。動きも止まり気味で、昨日の閉店時間あたりから高温療法に入っていた。そしたら今日、中性水18㍑バッグが届いた。詳しい試験データが載った冊子や事例集まで同封されていた。詳しく読んでみると、大事なことが書かれてあった。この中性水、有機物に触れると主成分が分解し、ただの食塩水に戻ってしまうとのこと。そこで気付いた。魚体を漬けてしまうとすぐに分解し除菌効果がなくなっちゃうのかと。となると一回魚を漬けた水は二匹目、三匹目には使えないんだな。フムフム。
そこで使用方法を変えて、先の具合の悪い当歳魚を治療することにした。
まずシリンジを用意して殺菌効果のある石鹸で洗い、熱湯でゆすいだ。キレイになったシリンジで18㍑バッグから中性水を吸い取る。右手にシリンジ、病魚を左手で持ち、まず開いた口の中へ中性水を流し込む。そして次に指先でエラブタを開け鰓耙にめがけて流し込む。これは左右のエラブタから行った。合計で約20mlの中性水を使った。ものの10秒程度のことなので魚への負担も軽い。
治療後、高水温ではなく常温の水槽に戻し様子を見守ることにした。結果は・・なんと!調子が良くなる様が見ている間に分かり、1時間後には元気に普通に泳いでいた。治療寸前まで、泳ぎを完全に止め動かなくなっていた魚が、治療後からは頼りないながらも泳ぎを続け止まらなくなるのである。そして今回は約1時間で健常な状態になったと感じとれた。
これはすごい効果である。金魚の救世主と思っても大げさでない気がする。今のところは・・。
とにかく、病魚が出たらこの方法で治療を続けてみるつもりだ。試験を重ね、これは間違いないと確証を得たら生成機導入を本気で検討することにした。おそらく金魚だけでなく、熱帯魚の細菌系病にも効果が期待できるのではないかと・・。
今回の結果に感動するあまり、すっかり中性水の宣伝広告のような日記になってしまったが、決してメーカーの回し者ではないのであしからず^^;
とりあえず、どんなものかが分かる事例集を↓
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そして生成機本体のカタログ↓
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これを知るきっかけをくれたばちゅんさん、とっても感謝してます。ありがとう。会った時詳しく話そうね。
by taro460616 | 2009-10-15 01:49 | その他 | Trackback
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